令和7年度 標準報酬月額保険料額表を掲載しました
令和7年2月20日に開催されました第181回組合会において、令和7年度事業計画及び収入支出予算が承認されました。
令和6年度の当組合の財政状況は、当初予算の3,227万円の赤字から7億8,207万円の黒字に転じることとなりました。主な要因としては、保険給付費の減少が挙げられます。令和6年度は、インフルエンザをはじめとする感染症の増加を見込んでいましたが、想定を下回ることとなりました。加えて、春闘での賃上げなどに伴い保険料収入が増加するとともに、国・健保連からの補助金も財政改善に大きく寄与しました。
令和7年度も保険料収入の増加などを見込み黒字予算を策定しております。平均標準報酬月額は、ここ数年続く賃金増を見込み前年度決算見込を5,000円上回る359,600円。平均被保険者数は、業界の厳しい雇用環境を勘案し400名減の35,900人を計上しました。賞与を含めた被保険者1人当たりの年間保険料は490,189円を見込み、前年度決算見込みを7,761円、率にして1.6%上回ることとなりました。
- 一般保険料率について
令和6年2月の日本商工会議所の調査では、中小企業の7割近くが人手不足を抱えています。そのため業績の改善が見られない中、令和6年に防衛的な賃上げを実施する企業が6割を超えるなど、中小企業の雇用環境は依然として厳しい状況が続いています。
当組合の令和6年度の平均標準報酬月額も、令和5年度決算見込み対比で2,000円増の予算を策定していましたが、春闘における大幅な賃上げなどに伴い、さらに3,500円上回る354,600円が見込まれることとなりました。
一方、令和7年度も引き続き政財界をあげて賃上げが叫ばれる中、当組合の平均標準報酬月額は、前年度決算見込みから5,000円増の359,600円を見込み予算計上しました。平均被保険者数は、近年の人手不足などによる減少を考慮し、前年度決算見込みに対して400名の減少を見込んでおります。これにより、現行の一般保険料率を踏襲した場合、保険料収入は前年度決算見込みを8,566万8千円上回る175億9,779万7千円が見込まれることとなりました。
そして、令和7年度は保険料収入の増加に加えて、高齢者医療制度への納付金等の減少に伴い、組合財政が好転したことから、実質収支は5億4,245万円の黒字予算を策定することとなりました。しかしながら、少子高齢化の進展に伴い、今後も高額薬剤の保険適用や高齢者医療制度への納付金負担の大幅な増加も懸念されるところです。
このような中、国は現役世代の負担を軽減するため、令和6年度から、後期高齢者にも出産育児一時金の一部負担を課すことを制度化しました。また、本年の8月から3年間をかけて、高額療養費の上限額の段階的な引き上げも検討されております。これはとくに高齢者の方々の自己負担を増加させ、健保組合が拠出する後期高齢者支援金を抑制するもので、厚労省の試算では、3年後の令和9年度には、加入者1人当たり年間5,000円程度の減額が見込まれるとしています。
このように、国は、高齢者にも応分の負担を課すべく舵を切ったところです。しかし、その一方で、令和8年度からは「子ども、子育て支援金」が現役世代にも課されるとともに、令和8年度からの実施に向けて出産費用の保険適用についても検討されているところです。そしてさらに国は、「医師偏在対策」として、過疎地域などの医師不足を是正するため、不足する地域に医師を派遣した場合の手当の増額分を、健保組合をはじめとする医療保険者に課すことも検討しています。
健保連は、保険料を目的外に使用することは認められないとして、断固反対の姿勢を示していますが、国は、今なお取りやすいところに負担を求めていく姿勢は変わらず、現役世代の苦境はこの先も続く見込みです。
当組合としては、健保連等関連団体とともに引き続き制度改革や現役世代の負担軽減を求めていく一方で、さらなる経費の圧縮と医療費の適正化を図り、現行の一般保険料率を維持していく方針です。 - 介護保険料率について
令和6年に介護事業者の倒産件数が過去最高の172件に達したことが東京商工リサーチから公表されました。令和6年度は介護報酬の1.59%の引き上げが実施されたにもかかわらず、物価高によるコスト増や人手不足が介護事業者の経営の重荷になったようです。今後の介護報酬のさらなる引き上げも避けられない状況です。
当組合の介護勘定予算も介護保険料収入だけでは支出を賄えず、現行保険料率では介護勘定準備金を毎年取り崩したうえで、収支均衡を図らざるを得ない状況が続いています。また、令和3年2月18日に開催した第172回組合会において、令和4年度以降の介護勘定法定準備金は、感染症の流行など不測の事態に備え、極力取り崩さずに、保険料率を増減していくとしたところです。
このような状況の中、介護勘定については、健康保険組合をはじめとする医療保険者は国の指示に基づき、介護保険料の徴収を代行しており、当組合の令和7年度の介護納付金は、介護保険の第2号被保険者(40歳以上65歳未満の被保険者及び被扶養者)1人当たり70,757円が見込まれることとなりました。これは対前年度予算と比べると2,150円の減、率にして2.95%の減少となります。
本来ならば当該介護納付金は、高齢化の進展や介護従事者の待遇改善などによって増加していくものです。しかし、令和7年度は、計算上2年前の令和5年度分の精算として3億6,280万円を超える介護納付金の返還があったことも影響し、介護納付金総額は前年を1億1,082万4千円減と大きく下回ることとなりました。加えて、介護保険料収入は、現行料率を維持しても前年度決算見込みを1,322万5千円上回ることが見込まれ、財政が改善することとなりました。
これらのことから、令和7年度は、平成30年度以来7年ぶりに、実質収支差引5,307万6千円の黒字予算を策定する次第です。
令和7年度も介護保険料率は1000分の16.5を踏襲する方針ですが、今後も、国から示された介護納付金をもとに、介護保険料率を見直していく所存です。 - 任意継続被保険者の上限額について
任意継続被保険者の標準報酬月額については、健康保険法第47条の規定により、当該被保険者の資格喪失時の標準報酬月額、前年9月30日現在の当組合被保険者の標準報酬月額平均額のいずれか少ない額をもって決定することとなります。
つきましては、令和7年度の任意継続被保険者の上限額は、令和6年9月末現在の当組合平均標準報酬月額に基づき、令和7年4月分保険料より第25等級 360千円となります。この先も社会保険制度を取り巻く環境は、大変不透明な状況が続きますが、当組合といたしましては、現役世代のさらなる負担抑制等について、健保連をはじめ関係団体とともに、これまで以上に国に対して働き続けていきます。 そして今後も、ご加入者の皆様の医療のセーフティネットとして、健康寿命の延伸や健康づくりに積極的に取り組んでいく所存ですので、当組合の事業運営にご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
令和7年度 標準報酬月額保険料額表(PDF)
(令和7年3月分保険料より)